真理の啓示

仙頭 泰(元生長の家ハワイ教化総長
)

谷口雅春先生が昭和四十七年(1972)三月から四月にかけて、アメリカ、カナダ、メキシコに"真理"の宣布普及のために講演及び講習旅行に往かれました。その時に、先生は二度目の海外巡錫であるので、前回と同じ話をして重複の感じで聴衆を飽かしてはならないと考えられました。ところが谷口雅春先生は"真理"以外の話はするわけにも行かないと感じておられました。そこで、先生は毎晩眠りに入られる時に「何を話したらよいか、導き給え」という意味のことを、神に祈られてから就寝されたのであります。

すると明け方に目覚められたとき、夢うつつの様な心境に於いて、神が谷口雅春先生に「真理を"かく語れ"」というかのような意味の声を聴かれたのであります。この神が諄々と繰り返し説き給うみ声を聴かれた谷口雅春先生は、神の御言葉を記憶によって再現され、それを文章に表現されたものが、現在の「神 真理を告げ給う」と題する本であります。

谷口雅春先生は、この御本の「はしがき」の中につぎのような事を書いておられます。抜粋してみます。
「……。従ってその文中"わたし"とあるのは、"神"御自身のことであって谷口のことではない。なるべく神が告げ給うた言葉の調子を文章にあらわそうとしたのであるけれども、表現力足らずして充分にはそれができなかった。……」と。

この「神 真理を告げ給う」という御本の第一章「宇宙及び人間の創造について」と題するところの、一番はじめにはつぎのように、神は示されています。
「"わたし"は今まで多くの教祖や哲人を通して人生の意義を説いて来た。君たちのうちには熱心に真理を求めて色々の書物を読み、色々の学者の説を読み、それに基いて思索をし、既に人生の意義を知ることができた人もある。
しかしそんな人は非常に稀であって、大抵は、自分の偏見や既成概念の中を迂路チョロしていて、悟ったつもりで実際は悟っていないか、真理なんて求めても到底得られるものではないのだという絶望感で、"聖なる求め"を放棄している人もある。
そのような人たちに"私"は、今ふたたび真理を知らせてあげたい愛念によって、今此処に谷口雅春を通して真理を説こうと思うのである。」

なんと云う素晴らしい有り難い、神のお言葉でしょうか。私たちが谷口雅春先生の謦咳に接することが出来たことは、これまた本当に「われ神を選びしにあらず、神われを選びしなり」という言葉が思い浮かび、胸の高鳴るのを覚えます。私たちはこの「神 真理を告げ給う」の御本は、特に留意して、繰り返し熟読吟味しなくてはならないと思います。この御本のなかには、人間、社会、国家、戦争、平和、人口、堕胎など各方面にわたり神の啓示が示されています。私たちはこの啓示をしっかりと理解して、地上天国を建設するために、各自の天分とする各分野で邁進して行かなくてはならないと思います。

生長の家の神示が三十三あるなかに、「終戦後の神示」と題するものがあります。この神示は「昭和二十年十一月二十七日未明神示」と記されています。この神示に関する谷口雅春先生の講義は、「秘められたる神示」と題する御本の中に収録されています。昭和二十年(1945)十一月といえば、大東亜戦争が日本の敗戦という形で終戦を迎えて、まだ二ケ月ばかりたった時であります。連合国はアメリカ軍を中心に日本占領を開始し、その直後の昭和二十年(1945)九月十五日には、GHQ当局が談話の形式でつぎの訓示を放送しまた。

「日本は敗北せる敵である。そこには交渉というものは存在しない。GHQは、日本政府に対し命令はする。しかし交渉するのではない。交渉は対等者間に行われるのである。しかして日本人には、彼らがすでに世界の尊敬や、あるいは最高司令官の命令に関して折衝することができる地位を獲得したと信じさせてはならない。」 これが日本国民に聞かせるための放送であったのです。

そして昭和二十年九月二十二日に「降伏後における米国の初期の対日方針声明」が出されました。これを読んでみますと、「日本が再び米国の脅威となり、世界の平和と安全の脅威となることがないように保障されるようにする」ことが、日本に関する米国の占領政策の究極の目的であると、一番はじめに書いてあるのでした。

そして、日本政府との関係については、「天皇及び日本政府の権力は、降伏条項を実施し、日本の占領および管理の施行のため樹立された政策を実行するため必要な一切の権力を有する最高司令官に隷属するものとする。」と明記されてあり、マッカーサー元帥が最高権力者の地位につき、日本弱体化の諸政策の実施を始めたのであります。ポツダム宣言は「日本の国体護持」を条件に入れて受諾したのですが、これを「日本は無条件降伏したのだ」とGHQの強引な宣伝により、日本国民を洗脳し、しかも日本は侵略国であり劣等民族であるという意識を潜在意識の底まで植え付けて行ったのであります。このような軍事占領が、昭和二十七年(1952)四月二十八日のサンフランシスコ講和条約が発効するまでの七年間という長い期間続くのであります。

このような国内混乱の状態にある時であり、谷口雅春先生は日本国家の前途を思い、日本民族に課せられたる運命を思い、泣くに泣けない悲しみの中に、眠られぬ幾夜を過ごしておられた或る日の未明のこと(註・昭和二十年十一月二十七日未明)、直接、神示というような厳かな客観的な形で生長の家大神の御言葉を、谷口雅春先生はお受けになられたのであります。その時のことを、つぎのように述べておられます。

「直接、神示というような厳かな客観的な形で生長の家大神の御言葉を久しく聴かなかった私は、再びその御声を聴いた。それは空中より発する荘厳なる声である。それは空中より発する御声かとも感じられれば、わが頭蓋骨内で宣示したまう声のようにも聴えるのである。それは厳かではあるが懐しき御声である。その声を記憶のままに再現したのがこの神示(註・「終戦後の神示」)である。恐らく十年以上も途絶えていて、今新
たに再び御声をもって出現したまうたのであるから、自己が何神なるかを明かにしようとの御考えから、『われは七つの燈台に火を点ずる者である……云々』と特に名乗られたのだと考えられるのであります」と。

 ここで「神 真理を告げ給う」の御本の十三頁を開いて見ます。ここで神はつぎの如く示しておられます。
「しかし"本当の教祖"というべき"真理の啓示者"は"実相世界"にある"神"のみなのである。イエス・キリストも『師というべき者は、唯ひとり天の父のみである』といっているし、谷口雅春も、"自分は教祖ではない。実相世界に生長の家の本部はある"といっているのである。
 しかし、"わたし"は或る時期が来たと判断したのである。"わたし"が直接、君たちに話してもよいと思われる時期が来たのである。それは、もう『生長の家』誌が発行されて四十三年も経て来たし、『生命の実相』の本も既に千三百万部も超えて読まれたのであるから、全部の人間ではないが、ある人たちにとっても、更に"本当の真理"を、賦
彩(イロヅケ)のない純粋な真理を話してもよいという適当な時期に来たと思うのである。」

 
 谷口雅春著作集第四巻「実相と現象」には、谷口雅春先生が昭和六十年(1985)六月十七日午前七時五十三分、九十一歳の天寿を完うされましたので、この「実相と現象」を追悼特別版とする旨が記載されてあります。このご著書の「はしがき」には「昭和六十年五月二十八日 著者 谷口雅春 識す」とありますので、この「はしがき」は谷口雅春先生が帰天される二十日前に書かれたものであることを示しています。

 この「はしがき」のなかで、谷口雅春先生は「神真理を告げ給う」の御本にある通り、神が"真理をかく語れ"と導き給うたことに触れておられ、心から神の導きに感謝の言葉を捧げておられます。そしてこの「はしがき」の結びとして、次のようなお言葉を書き残しておられます。

「このような文章――神の言(コトバ)に接する毎に、私は畏れ平伏(ヒレフ)すのである。そして図り知れない神のはからい、摂理、お導きに、谷口は十二分にお応えし得たであろうか、この九十余年の生を以て些かの悔いることなく尽し得たであろうか、と魂の打ちふるえるのを覚えるのである。そして谷口に賜った神々の大いなる恩寵に、唯々感謝合掌、悦びが、悦びの波紋が見渡す限り拡がる様を、心眼に拝するのである。

本著作集も第四巻となり、いよいよ佳境にはいった感がある。生命の実相哲学の骨格を成す唯神実相論の霊々妙々の極意を、極めて平明に、話し言葉を以て表現してある。先の海外巡錫の時よりも若い時代の著述が多いが、もとより谷口の脳髄知、谷口の力倆で構えて説いたものではない。いずれもその折々に最も相応しい神々の指導助言の賜である。万般の奇瑞が続出するのも、故なしとしない。

諸賢が本著に親しまれることにより、"聖なる求め"を放棄することなく、日に日に高きを望み、深きに入りて真理を体得せられんことを、神に代り切に切に望むものである」

 これが谷口雅春先生が私たちに下さった帰天二十日前のお言葉でありす。私たちは、谷口雅春先生の御著書を繰り返し拝読して、その御文章の奧にある、つまり「文底秘沈」を体得して世の為、人の為に現在自分の置かれている場において、「随所に主となる」生活を展開して地上天国顕現のために役だつべく、毎日を元気いっぱい光に向かって邁進して行こうではありませんか。私たち一人一人、神の最高の自己実現であり、私たちが生きていることは、神の栄光をあらわす焔であり、神の希望の証しなのであります。合掌
                   
                               (終わり)


「み教えの基本」へ戻る
「総合目次」へ