平成16年6月号

谷口雅春先生に学ぶ(2)

今こそ憲法改正を

国 元 貴 知


 雅春先生は時局問題に指針を示された


  今、私たちは、国内的にも国際的にも大きな変動の中にいる。雅春先生は、常に、日本の実相顕現、人類光明化の原点に立って、時局を分析され、私たちがどのように考え、行動すべきかを明確に教示された。
  生長の家の信徒として、また日本の一国民として、生長の家本部からの指針が欲しいものの一つにイラクへの自衛隊派遣に関わる憲法改正問題がある。一月十九日、陸上自衛隊の先遣隊がイラクのサマワに入り、二月八日には本隊もサマワに到着した。さらに三月二十日、二十一日には主力部隊(女性隊員十一人を含む)がサマワ入りし、現地住民向けの支援活動を開始した。
  自衛隊派遣に伴って、憲法改正問題が取りざたされるようになった。自民党は平成十七年中に、民主党は平成十八年中に改憲案をとりまとめると発表している。しかし、このようにゆっくりとしていて良いのか。なぜ、今憲法問題を解決しないのか。特に第九条の戦力の不保持、交戦権の否認の問題を先送りしたままで、イラク特措法に基づき自衛隊を派遣したことは、重大な国際問題を引き起こす恐れがある。

  憲法改正を先送りした特措法の問題

  法律の専門家でない私か考えても、次の三つの問題が浮かび上がってくる。

 @ 派遣された自衛隊は、正当防衛または緊急避難に該当しなければ武器を使用できない(特措法十七条)。従って、無防備的ターゲットとして、自衛隊こそがテロリストに狙われる恐れがある。
 A 自衛隊は、非戦闘地域でしか活動できない。サマワで戦闘行為が行なわれるに至った場合、あるいは戦闘行為が行なわれると予想される場合には、避難しなければならない(特措法八条)。
 B 自衛隊は、自分の管理下にある人間等を守るためにだけ、武器使用が認められている(特措法十七条)。サマワの治安維持の責任を担うオランダ軍が襲われても、自衛隊はオランダ軍を見捨てなければならない。

今回のイラクヘの自衛隊派遣は、現行憲法第九条の問題点を浮かび上がらせた。しかし、第九条だけではない。日本の地盤から生え抜いたものでない現行憲法そのものが問題なのである。
  雅春先生は、五十二年前の昭和二十七年、講和条約発効の時点に現行憲法無効を唱えられ、占領政策を日本人の眼で根本的に見直し、民族自決の原理をもって新しく踏み出すように私たちを励まされた。そして、現行憲法が無効である論拠を、内容と成立過程の両面から明確に示された。
  第二次大戦後、西独は、占領軍の高圧にも拘わらず、占領中は憲法を制定すべきではないとの道理を実践し、また、占領中の基本法が暫定法に過ぎないことを明示した。しかしながら、日本は、占領軍の管制下で、君民一如である皇室と国民の関係を無視した、日本の地盤から生え抜いたものでない現行憲法を押し付けられ、これを恒久憲法として受け入れてしまったのである。
  現行憲法の草案が、たとえGHQから提示されたとしても、審議は、総選挙によって選ばれた議員によって行なわれたと主張する者もいる。しかし、昭和ニ十一年一月のGHQによる公職追放令で四百六十六名中三百八十一名の衆議院議員は、四月に実施された総選挙への立候補資格を失っていた。そして、総選挙以後も、議会開会中も、議員の追放は行なわれていた。議員たちは追放に怯えながら憲法案を審議していたのである。このような成立過程を踏まえれば、現行憲法が日本国民による自主憲法でないことは、明らかである。

  私たちが取るべき道

  内容面、成立過程面で無効である現行憲法に、どう対処すべきであろうか。雅春先生は、帝国憲法復元・改正を示されている。講和条約発効とともに、占領期間中停止していた帝国憲法が復元し、その上に立って、時代の進運にふさわしい形に改められるべきなのである。
  私たちの先輩は、雅春先生の指針に基づいて、四十一年前の昭和三十八年度生長の家青年会運動方針書に、帝国憲法復元・改正を謳っている。谷口清超現生長の家総裁が、生長の家青年会総裁在任中のことである。この方針書には、次の趣意が記されている。
「私たちが、この運動を展開するに当たって先ずなされるべきは、一大反省である。憲法は、民族の神に対する約束であり、国家及び個人の存立にとって極めて重大な意味を持つものであり、国民一人ひとりの精神生活の中枢に極めて重要な地位を占めるものである。しかるに、現行憲法制定当時、私たちは、果たしてどのような関心を示したであろうか。もし一人ひとりが、神の意志を最高度に顕現すべき使命を持った神の子であることを自覚し、憲法が日本の地盤から生え抜いたものであるべきであり、国民の持つ理想と将来の生活を律する重要なものであることを認識していたならば、もっと多くの人が生命を賭してでも現行憲法制定に反対したであろう。殊に生長の家信徒間に、もっと根強い阻止運動が起こったはずである。私たちは、私たちの信仰が、谷口雅春先生の日本の実相顕現信仰から、気づかずに遠ざかっていたことを深く反省しなければならない。その反省を通してのみ、私たちは、真に神の子として、真の愛国者として生まれ出づるのである。」

  一大啓蒙運動の展開

  私たちは、現代日本社会の多くの迷いが、憲法に対する国民の態度の誤りから生じていることを認識して、是正の活動を展開しなければならない。雅春先生からご教示頂いたように、帝国憲法復元・改正方式を取る。私たちの帝国憲法復元・改正運動は、単なる社会運動ではなく、私たちの生活の根拠を根源に立ち帰らせ、正しい筋道を通して考え生きることを国民に教えるという中心帰一の信仰純化運動であり、あくまでも霊性の深さにおいて進められなければならない。
  具体的には、先ず、現行憲法を基本法として、基本法から前文と第九条を削除し、新たに戦力と交戦権の保持を確定する。そして、理念として帝国憲法を復元し、現実の自主制定憲法を五年の時間をかけて作るのである。前文と第九条によって欠陥だらけにされた安全保障体制につけこんで、北朝鮮は多数の日本人を拉致した。また、日本固有の領土である竹島や尖閣諸島に韓国や中国が侵入した。
  国家というものは、本来、国民の生命・身体・自由・財産そして国土を守るために存在しており、これらを守るために、自衛権を有し、軍隊を持っているものである。私たちは、自国民が一人でも拉致されたならば、被拉致者を取り戻すために武力行使する権利を持っていることを忘れてはならない。この場合の武力行使は、自衛権の発動である。
  私たちは、今、雅春先生が五十二年前に示された日本の実相顕現のための帝国憲法復元・改正の一大啓蒙運動に立ち上がらなければならない。




 

国元貴知氏
どんな教えか
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