谷口雅春先生沖縄を御巡錫

  仙 頭   泰

 谷口雅春先生は昭和四十年一月七日から十四日まで八日間にわたって、沖縄の御巡錫せられた。七日、那覇空港には沖縄行政府の要人をはじめ、信徒ら多数が手に手に日の丸や生長の家の小旗をうち振ってお迎えした。

 落成間もない那覇の光明会館での御講演をかわきりに宮古、八重山と御巡錫を続けられ、十四日には「ひめゆりの塔」を参拝された。御講演の合間にはテレビ、ラジオの放送にもお出になるというように少しのお休みもなく、戦後二十年、今なおアメリカの統治下にある沖縄の同胞に向かって、人間神の子の真理、日本国の実相のすばらしさをお説きになり、深い感銘を与えられたのである。仙頭泰理事の随行記を通して、ここにその詳細の模様をお伝えする。(『聖使命』・昭和四十年二月一日号)

                 
沖縄御巡錫随行記

 一月七日、午前八時四十五分、谷口雅春先生の搭乗されたジェット機は、エンジンの響きも力強く沖縄を目指して羽田空港を離陸、アッという間もなく富士山をはるか下に眺めながら飛行します。約二時間半程するうちに沖縄本島に近ずき、那覇空港も眼の下に見えます。

 定刻十一時二十分に飛行機は空港に着陸、小雨降るタラップを谷口雅春先生が降りはじめられると、そのお姿を誌友が認めたのか空港事務所の建物の二階ベランダに並んだ人々の手にした「日の丸」と「生長の家」の小旗が一斉にゆれ動き「ワアーツ」というどよめきの声が聞こえてきます。

 大きな「日の丸」と「生長の家」の旗が揺れています。
谷口雅春先生が税関に入られてロビーに出られるや、行政府主席、立法院議長、那覇市長等要職にある人々が多数挨拶にこられました。この後つづいて新聞記者のインタビュー、そして二階ロビーで待ち受けている誌友の皆さんの歓呼のなかに谷口先生は花束を受けられ小雨降る中を自動車に乗られました。

 自動車のパレードが雨なので残念ですと誌友の人が語ってくださいました。先導車のあとに琉球大学の学生諸君によるバンド隊がトラックに乗ってつづき、谷口雅春先生はこの後につづかれました。自動車は長い列を作ってアスファルトの軍用道路を走ります。やがて市街の中心地に入るや、小旗を手にした人達が何処までも何処までも並んでいます。小雨なんか、なんその、谷口雅春先生を今眼の前に迎えて歓喜している誌友の皆さんです。千五百名位並んでおられた由です。

 この日は午後二時よりすぐに一般講演会、夜は学生、青年のための講演会。会場になった生長の家光明会館は受講希望者が余りにも多いため庭に仮設の座席を作り、それでも入りきれない人は三階の小ホールで先生のお声のみを拝聴するという具合です。八日九日,十日は講習会、いづれも超満員で、報告によれば約二千三百名の受講生とのことでした。

 谷口雅春先生のお話を聞く人々の顔は真剣そのもので、或る時は笑い、或る時は眼に涙し、思わず拍手をしたりしながら、一瞬のうち四日間を過ごしてしまいました。この講習会の間に八年間曲がらなかった足が自由にに動くようになって、皆が喜びの拍手を送った場面もありました。

 十一日、宮古島平良市において一日講習会が開催されます。空港は砂糖キビの畠の中に作られた草原で滑走路一本と云った簡単なものです。二百名余りの人々が手に手に「生長の家」の小旗を手に手に振っての歓迎陣です。飛行機が砂塵を巻いて停止。タラップを降りられた先生を地方庁長はじめ町の有力者の方々も出迎えてくださる。誌友の可愛いお嬢ちゃんの差し出す花束を受けられ、宿舎に向かって御出発。

 宮古では、十一日夜と十二日午前中、流映館という映画館で開催。宮古にはテレビがないので映画は人々の娯楽の最たるものとのこと。この映画館は谷口雅春先生の御講習の為に上映を中止すて積極的な応援ぶり。受講生も超満員、ロビーにスピーカーをひいて其処で声だけ拝聴される人も続出でした。地方庁長も最後まで熱心に耳を傾けておられました。

 午後石垣島に向けて出発。飛行場に集まった人々は使命行進曲を歌い、旗を振って谷口雅春先生とお別れするのを惜しんでいました。午後四時ごろ石垣島の飛行場に到着、あたりはハワイ諸島の中のマウイ島を思い出させます。空港事務所の外には約六百名位の出迎えの人々です。先生は並んでいるこれらの人々に合掌でお応えになります。ここでも地方庁長、助役さんはじめ町の名士も多数出迎えに来て下さっていました。

 その晩谷口雅春先生は休む暇もなく、琉米文化会館で五時半からお話です。小さなホールは全くすし詰め、熱気がこもり過ぎて天井の扇風機まで回す有様です。五百名位の人達でした。十二日、万世館という映画館で講習会、ここも超満員です。みんな真剣そのものです。

 谷口雅春先生は、受動より能動へと「無門関」の中から話をされ、沖縄が今苦しい立場にあるが、そこから逆に日本の国を救い、全世界を光明化する源流となることをお説きになり、沖縄の皆さんはこのお言葉を胸に深く秘めて、沖縄全島を一日も早く光明化する運動を強力にすすめることを谷口雅春先生の御前に固く誓われたのでありました。

 祖国の危機を救う為、十字架にかかった沖縄は、今栄光の中に復興をとげつつあります。日本本土に住む私達は沖縄の同胞の為にあらゆる面で愛の手をさしのべ、一日も早く祖国復帰が出来るように努力しなくてはならないと思います。

 

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