谷口雅春先生ご巡錫中の手紙から

七 月 一 日

                                仙 頭    泰


 只今はサンパウロを出発して、マリリアに行く飛行機の中にいます。昨六月三十日、日曜日にはサンパウロ市内のイビラプエラ州体育館にて午後一時半から五時までポルトガル語の通訳つきで、ブラジル人を対象にしての谷口雅春先生の講演会が開催されました。聴衆は一万名を越える盛況で、この講演会には徳久理事も通訳付の話をし、またブラジル人による体験談発表もあったりして、来会者に多大の感銘を与えたものと思います。
 或る新聞記者が取材に来まして、若い人々の多いのと、会場の雰囲気の明るくていきいきとしているのにはビックリしていました。そして宗教の講演会にこんなに若い人々が集まるとは思わなかったと云って、生長の家の偉大さに驚いていました。
 ブラジルに於ける生長の家の果たす使命は実に大きく、ブラジル人の精神的支柱になって、偉大なる國ブラジルの躍進に貢献するところ大なるものがあると確信しました。

 ブラジルで聞いた笑い話
町角で二人の男が盛んに何か議論をしていました。側に行って聞いてみますと、「自分の歯で自分の目玉を噛むことが出来るか、出来ないか」ということでした。そこで早速お金を賭けてきめることになりました。A君は「そんなことは絶対に出来得ないことだ」と言い張ります。B君は「絶対に出来る。これからやって見せてやる」と云うのです。
A君は心の中で「Bの奴、頭でも少し狂ったのではないかな」と思いつつ、この賭けは絶対に俺の勝ちだと思いました。
 そしたら、B君がやおら、自分の左の目の玉に手をあてました。何をするのかと思ったら、ギョロリッと目玉をつまみ出して、歯で「カチリ」と噛んで見せました。B君の左の目の玉は義眼で、何時でも取り出し自由とのことでした。この賭けはA君の完全な負けとなりました。
 そしたらB君が又云いました。「今度は右の目玉を噛んでみせようか」と云いました。A君は今度こそは、今のようには行かないだろうと思いました。だって両方義眼でしたらB君は盲ということになるからです。それで「今度は俺の勝ちだ」と思って「よし、やろう」といって再び多額のお金を賭けました。
 そして「今度こそ,Bの奴は参るだろう」と思って、B君の方を見ますと、今度はB君が落ちついて口に手を持って行きます。「何をするのだろう」と見ているうちに入れ歯をニューと取り出して、やおら右の目玉をガブリと噛んでみせました。B君の歯は総入れ歯でした。
 ああ、あわれなるA君は見事に賭けに負けて、財布がカラになりましたとさ。

 ブラジルの人の体験談を聞いて
今日までに、三人のブラジルの人の体験談を講演会場で聞きました。発表されるブラジルの方たちが、合掌して心の底から谷口雅春先生・輝子奥様に礼拝される姿は美しいものであり、何とも表現の出来ないものでありました。
 それぞれの人達がマイクの前で、過去の自分の苦しい暗い生活、もう人生のどん底でどうにもならない時に、「生長の家」を知らされ、聖経「甘露の法雨」を読み(勿論ポルトガル語ですが)神想観を実修で神に祈った時に救われたことを、或る人はたんたんと、或る人は情熱を込めて語るのでした。その話を聞いている人々の眼には感激の涙が浮かぶのでした。私も言葉そのものは分かりませんが、マイクの前で救われた歓喜を語る姿は実に尊く美しいものでありました。
 そしてこれらの人達が一様に言っていたのは、日本語を勉強してそして「生命の実相」を読んで、深く真理を体得して、そして生長の家の御教えを一人でも多くの人々に伝えて、ブラジルの國を立派にし、そして世界平和に役にたつのだということでした。
 私達はもっと「生命の実相」を深く体得して、外国の言葉でもって自由自在に真理を説き去り、説き来たって、全世界の人々を一日も早く、光明化しなければならないと思いました。
                                 (終わり)
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