平成18年 7月号

み教えを生きる悦び (29)

生命は ”天からの授かりもの”

鎌 田 久 子


  子どもが 授かったことを 告げたとき
  あなたは 「ほんとうか 嬉しい 俺は
  これから 真面目になって 働くからな」
  そう 答えてくれた
  肩を並べて 桜並木の下を 帰ったあの日
  私の 一番 幸福だった日
    (産経新聞・朝の詩・柴田トヨ・九四歳)

  始めて赤ちゃんが授かったことを、夫に告げた日の感慨を ”私の一番幸福だった日” と歌いあげた九十四歳のトヨさん。

  この詩を、しみじみ味わいながら、若き日の悦びにあふれたご夫妻の様子と、いまはかわいい曾孫さんたちに囲まれて、相好をくずしていらっしゃる情景が交錯した。
  生命は、”天からの授かりもの ”という生命観を、以前は誰もが抱いていた。戦後は唯物思想教育が浸潤し”子供をつくる” ”来ちゃった” ”産む産まない”の決定権は、受胎した本人の自由(堕胎も可)という風潮がまかりとおっている。

  中(みなか)(サムシングーグレート)の世界から、父母を慕い、父母を選び、父母のお役に立ちたくて、生まれてくるけなげな生命たち。小さいながら、父母の魂の進化を促がす使命をおびて生まれてくる気高い生命たち。あなたのあどけない笑顔、全身で訴える元気な泣き声、いとけない動作。あなたは、中(みなか)の世界から限りない愛をたずさえて訪れてくれる天の使い。私たちは、精いっぱいの祝福と、真心と、感謝をこめて、あなたを迎え、守り、生ましめ、育んでいきたいと思う。

  『赤ちゃんが生まれて一番幸せな国パート2』 (新教連理事長・井上雅夫著) の裏表紙に、黒任教教主の黒住宗晴氏が(私はかつて若い頃、出雲地方で一人の婦人から 「有難いことにわが家の嫁のお宮さんに、日が止まりました。」 との一言を聞き、感服したことがあります。子の宮に、日が止まるから人(ひと)というわけです。) ”授かりもの” の心が日本を救う … とありました。

  聖経『甘露の法雨』の ”智慧” の項に─人間は光の子にして常に光の中にあれば─、 ”人間” の項にも ─ 神は人間の光源にして人間は神より出でたる光なり ─ と、お示しいただいている。
  神様はすべての女性に、神の光の子を宿す、聖なる子宮を、ご用意くださっていることに、あらためて感動を覚える。

  昨年の七月、松尾守氏から 『ママのおなかをえらんできたよ』 (池川明著) を頂戴した。 「天使のほほえみ」 の私どもも、池川氏の ”胎内記憶” の著書が話題になっていた矢先だったのでとても有り難かった。時を一にして松尾氏から 「人間は光だった」 と誕生前の記憶が書かれていて感動したのでご参考までに、と鄭重な添え書きがあり、見えざる神の愛のみ手に、感謝しきりであった。
  その、中原あさひくんの四歳十カ月頃の言葉。

  ぼくね、光やったよ。
  光のお友だちがたくさんいた。
  ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんが
  きてくれて、中原のおうちは
  あそこじゃけん、て教えてくれた。
  だからきたんだよ。

  このように、赤ちゃんには、生まれる前からの記憶があることに刮目された池川先生は、毎年千人を超える親御さんたち (保育園・幼稚園) の協力を得てアンケート調査を行ない、現在六冊目の本を出版されている。私はまだ四冊しか拝読していないが、幼児の語るナイーブな言葉は、み教えを学ばせて戴いているお蔭で、すべて肯定できる。

  今年の四月十六日、ハリウッド美容専門学校の山中祥弘理事長のご好意に甘えて、最高の立地条件に恵まれた六本木ヒルズの会場で、 『天使のほほえみ』 首都圏発会の集いを開催することが出来た。天の時・地の利・人の和を得たお蔭である。
  待望の講師は、われらの顧問・池川明先生である。お人柄のにじむ、ソフトな語り口。歯切れよく、明るいさわやかな声。赤ちゃんの魂の声を聴きながら、尊い生命をこの世に迎える数々の臨床例は、飽かず聴き入る九十分であった。

  終盤、先生は、 (一) 死産、 (二) 流産、 (三) 中絶、 (四) 障害児にもふれられた。

  (一)(二) は、医師や母親にとっては悲しく辛いことだが、赤ちゃんは胎児期のみを経験するという目的を果して、あちらの世界に帰って行くことが解ってきた。

  (三) は、赤ちゃんの表情には、人生体験を重ね、すべてを悟っている老成した何かがある。未熟なのは肉体だけで、魂は成熟している。従って人工中絶は赤ちゃんの進化を妨げる。

  (四) は、困難の多い人生を選んで生まれてくる魂の高いレベルの赤ちゃんで、その高いハードルに挑戦できる強い父母と家族を選んで生まれてくる。

と示唆に富む内容で締め括られた。





鎌田久子氏
どんな教えか
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