甘い香りに、ふと足を止めた。香りたつ門内をのぞくと、見事な大輪のバラが咲き競っている。
♪ バラの咲く日に会いましょう ♪
ふいに、明本京静作曲の軽快なメロディの歌詞が口をついて出てきた。
かつて、明本先生に教えていただいたこの歌をなつかしみつつ口ずさんでいると、ああ、今日は先生の命日だった、と気づいた。
空を仰ぎ、目を閉じると、先生の声なき声が心の耳に響いてきた。
「 『天使のほほえみ』 NPO(特定非営利活動)法人認証取得おめでとう。期待してますよ。人生は呼吸の兼ね合いが大切。肩の力を抜いて ”調息・調息また調息” 。臍下丹田に深く吸い込み、ゆっくり吐き出す。これ即ち ”一分間瞑想” 。
それと、たえず真理の凝縮された谷口雅春先生作詞の聖歌を、ヴェルカント発声法で歌うこと。
真理のことばが五感をとおり、身・心・魂に沁み渡り、暗の波長をハネのけて、健全な精神状態で神の聖業に励むことができるからね。 ”唇に歌を、心に太陽を” もっと高く、もっと明るく、もっと至純に!
うさぎは、己の速さ(才能)を誇ってよく跳びまわるが、昼寝もよくする。あなたは自称鈍重な亀。進んでいるのか、止っているのか、手足が短いから解らないって? アハハ。大丈夫、大丈夫。大バカになり切って、倦まず弛まず、休まぬ努力を培っていけば、必ず法改正への道はひらける。
ウンナナナマー・アーオーウーエーイー。ウンマママナー・アーオーウーエーイー。」
明本先生の浄音がひびき渡ると、バラの花びらや葉っぱがかすかに揺れ始めた。天空から霊流がふりそそがれ、それに呼応して地上の植物がいっせいに輝きだした。
他の花々と、バラの蕾が天にむかってゆっくりと開き、身心の汚れを消し去る透きとおるような香りがたちのぼる。
ああ、風も、光も、香りも、みなまじりあってえも言われぬ一人交響楽が奏でられている。私は身心のしがらみから解き放たれて、浩然と立ち尽くしていた ─ 。
ややあって、はるか彼方の無限に高く、広大な世界から、美しく、精妙な、鈴の音のように澄んだ声が、鳴りひびいてきた。
「 神の浄化のお働き、愛の聖業は多岐にわたります。しかし、最も大切な働きは、神の生命の分身・分霊である神の子を、この地球に送り、地球の浄化・再生をお計りになることなのです。とくに、日本国家は、天皇陛下に中心帰一し奉り、営々と発展している真理国家であります。
霊界から、日本民族の使命を果たすべく、神の御意志をたずさえて生れてくる尊い生命。その生命を、経済的理由であれば誰でも堕胎ができるという殺人奨励法を温存していることは、神の御心に背く行為です。
日本は、戦後六十一年間、戦争による殺戮はしていないが、一億の神の子を、人工中絶するという大虐殺を犯してきた。天災・地災はもとより、修羅横行の殺人が絶えないのは、この親子二代にわたる業の流転によるものであります。
(一) 中絶は、犯罪中最も重い(拒むことが不可能な胎内掻昶)殺人罪である。
(二) 中絶をすすめる人間(医者・肉親・知人)は、殺人幇助罪に問われ、罰せられる。
この (一) と (二) を母体保護法に成文化し、 ”経済的理由” は早急に削除しなければならないのです。
以前「生命尊重運動」 の最重要課題として、国会議員に働きかけて、優生保護法の改正を訴え続けたが、命がけで取り組む議員は少なかった。これからは、母性を有する女性議員に法改正を頼むとよろしい。 「百万人の胎児を救え」 から始まった運動も、一頓挫したかに見えるが、まだ根っこは残っている。底深く伸びた根は派生し、他団体で新芽を伸ばし始めている。
『天使のほほえみ』 は、私利私欲のない、無我献身の人たちによって運営されてゆく。
『天使のほほえみ』 は、各種女性団体・福祉団体・文化団体・宗教団体・政界・財界・有識者方を糾合し、国の生命を賦活する愛国の「生命尊重」運動を推進していく使命がある。
『天使のほほえみ』 は、神が主宰なれば、生きとし生けるものすべて互いに生かし合い、浄め合い、愛し合い、扶け合い、讃え合い、尽くし合い、睦み合い、拝み合い、御業を進展させてゆく。
『天使のほほえみ』 の信条・運動目標を、各界に滲透拡大するための人・事・所・物は、必要に応じ、すべて与えられてゆく。 さあ、おおらかに眉あげて、意気高らかに進めかし。 」
住吉大神のみ声のような。その化身であられる谷口雅春大聖師のなつかしいみ声のような。誰も通らない昼下がりの、バラ園に霊流ふりそそぐ、ひとときであった。
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