『インドを旅して』 ─ 全五巻 ― の著者・五木寛之氏が昨秋、NHKで 「えぇっ!」 と驚くような話をされた。それは、ヒマラヤの山腹に高僧をたずねたときのこと。
「今生で、一人の人間を殺すと、輪廻転生の中で五百回殺される体験をする。そうして業を浄め、魂が悟るのである!」 と。氏は、絶対に人間が人間を殺してはならないことを、肝に銘じて下山したという。
ちょうど私も、 ”生命尊重運動” に携わっているだけに、何という厳しい戒律だろう、と慄然とさせられた。と同時に、 「あぁ、神さま、申し訳ありません。申し訳ありません。生長の家の信徒でありながら小学生にまで殺人を犯させて…」 涙が、ぬぐってもぬぐっても、あふれ落ちた。
かつては、世界で最も好ましい結婚相手は、日本女性と折り紙つきだった愛する女性たちが、無抵抗の小さな生命を、何の罪悪感もなく平然と殺している。こんなに大きな悪業をいまも犯し続けさせている。何という祈りと愛の行動の乏しい神の僕であったことか。
私は一晩中、泣きながら懺悔した。日本がなぜこうも支那や北朝鮮、韓国からあなどられ、米国の弱体化政策、社会主義・共産主義の唯物論から抜け出せないのか。目には見えないけれども、人類の意識は一つにつながっている。戦後、一億もの尊い生命を中絶してはばからない、私たちの同胞が犯してきた罪業が招き寄せていると、皆さまも、お気づきではないでしょうか?
三年前からの交流で、もう中絶手術はしないと決めて下さっている産婦人科の先生に、昨年、ご迷惑はお掛けしないからと、中絶許可証を送って下さいとお願いした。先生は、 「ああ、同意書のことですね。お安いご用ですよ」 と、快く承諾され速達で送って下さった。ドキドキしながら開封すると、あまりにも簡素な形式に唖然とした。A4を二つ折りにした大きさでした。小学生でも一筆書けば中絶できる、しろものである。
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同意書 │
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│ 一、母体保護法第14条第一項・第1・2号により人工中絶 │
│ 手術を受けることに同意します。 │
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平成 年 月 日 │
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本 人 氏 名 印 │
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住所 │
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配偶者氏名 印 │
│ 住所 │
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│ 記載上の注意@配偶者が知れないとき、又は、その意志を │
│ 示すことができないときは、その旨を、配偶者の氏名の箇所 │
│ に記載すること │
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驚いたのは、医師の中絶指示に同意するという形式になっていたことである。
ちなみに母体保護法のなかで、改正すべきは、次の条項である。第十四条一項「妊娠の継続・または分娩が、身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害する恐れのあるもの」 となっている。本当は、中絶したい希望者に医師が同意すれば、中絶はいとたやすく行なわれる。医は算術とも言うべき殺人奨励法である。この経済的理由の五文字を消せば、中絶は激減するのである。
または、母体の二文字を胎児に換えて、胎児保護法にすれば、胎児の生命が救われるのである。
三十年前、生長の家政治連合とともに、優生保護法改正のため、相・白・青はひた走りに走った。しかし、十五年間走り続けた切実な運動も廃案となってしまった。あのとき集まった六百万人の署名はどうなったのでしょう。
もう一度立ち上がりましょう。 ”天使のほほえみ” は、授かった生命はすべて生まさせていただき、育てさせて頂く運動である。逆子であろうと、まぶたがくっついて眼球があらわれないあかちゃんであろうと、鬼唇であろうと、神さまの世界に不完全はない。神さまに焦点を合わせ、真剣に祈るとき、神愛・神智・神力のお導きを頂き、奇蹟をあらわすことができる。また言葉の創化力を駆使して生命を生かし、地上に福音をもたらす運動である。
あなたの一声、私も手助け、みんなで防ごう
お腹の赤ちゃん。みんなで防ごう中絶!
私の尊敬する吉田松陰先生は、小田村伊之助に書を送っている。「大事を成就しようとすると、百千の挫折が訪れる。これは、天が人に試練を与えるためである。今日の失敗から将来の成功は始まる。」 私は幸せである。自我を滅却して神さまのお仕事としての自覚と使命に燃えて真心を傾けて、ご一緒に歩んで下さるたくさんの同志に恵まれているのですから…。
この尊い運動に「学ぶ」誌の皆さまもぜひご参加下さいませ。お願い致します。
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