平成21年 8月号

み教えを生きる悦び (64)

足利事件の冤罪と戦後日本の冤罪

鎌 田 久 子


 いつものように、NHKの報道ニュースを聞きながら、机上の仕事に精を出していた。すると、 「足利事件で服役中の受刑者が、六月四日午後、釈放された」 というニュースが飛び込んできた。
  テレビに映し出された菅家利和さんの顔を見たとき、 「ああ、この方は無実だ」 と直感した。
  実直な、慈しみをたたえたまなざし。刑務所の同室の先輩受刑者から殴られ、けられ、肋骨を二本も折られる壮絶な暴行を受けたことも、警察官の暴力を交えた強引な取り調べも、殺害者という汚名から解放された今、彼の雰囲気は明るく、さわやかだ。隣に付き添う弁護士の方も 「初めて菅家さんにお会いしたとき、すぐ犯人ではないと分かりましたよ … 」 と。

  石山晃夫帝京大学名誉教授(法医学)は、 「恐らく最初のDNA分析は、拙劣な技術力の分析結果を信じて、菅家さんのものと一致したという誤判断をし、 『証拠』 だけを頼り、捜査をおこたり、手抜きの判決を出してしまった。現在の進歩した国際基準鑑定方法によれば、菅家さんが犯人でないことが証明されたのに … 」 と、産経新聞に書いておられた。
  それにしても、十七年余、犯罪者扱いをされ、無期懲役に服していた菅家さんの無念を思うと、切なさがこみ上げてくる。

  「でも、菅家さん、釈放されて本当によかった。あなたの潔白は、メディアを通して全国に知れ渡りましたよ。どうぞ、これからは胸をはって冤罪を防ぎ冤罪者を救うために、お元気でご活躍くださいますように、心よりお祈りしております」

  足利事件の冤罪を見事に晴らすことができた菅家さんに安堵し、祝意を表しているうちに、ふと私の心の中に言いしれぬ寂寥感が去来し始めた。

  それは、戦勝国はすべて善、敗戦国はすべて悪、という極東国際軍事裁判(略称−東京裁判) による、愛する日本国家・国民のこうむった数々の冤罪が、いまだ晴らされていないことの悲しみと、憤りでもある。

  すでに日本弱体化占領管理は、昭和二十七年四月二十八日、サンフランシスコ講和条約発効により、日本は賠償金もきちんと払い、終結している。このわずか六年八ヵ月の問に、占領軍は日本弱体化政策のウイルスを 大 ・ 中 ・ 小 二百以上も浸透させた。
  この最たるものが、アメリカ製憲法と、現・母体保護法である。今年の八月十五日で、終戦後満六十四年目を迎える日本。東京裁判で二年間にわたって上演された ”侵略国家日本” という茶番劇は、もう今では劇ではなく、現実と思い込んでいる日本人が多くなっている。

  こともあろうに、日本を代表する歴代政府は、ニ十一回謝罪してきた。その中での三大ウソ談話は、次の通り。

 一、鈴木内閣時の官房長官・宮沢喜一氏の「教科書には、深く過去を反省し、 反映させます」
   ( 昭和57年8月26日 )。

 二、宮沢内閣時の河野洋平氏の「旧日本軍が関与した従軍慰安婦の方々に、心からお詫び
   します」 ( 平成5年8月4日 )。

 三、村山富市総理大臣の「わが国は、国策を誤り、アジア諸国を侵略し、多大 の損害と苦痛
   を与えました。ここにあらためて反省の意を表し、お詫びを表明します」
   ( 平成7年8月15日 )。

  この三人が、深く反省し、お詫び申し上げるべきは、昭和天皇と今上陛下と、最も高貴な美しい日本に殉じた護国の英霊の方々にこそ、歴史認識皆無の為政者として、頭を下げるべきでしょう。

  私たちは、日本の果たした真の歴史的役割を正しく認識しなければならない。

  大東亜戦争は、日本が仕掛けたのではなく、中共の背後の米国を中心に、英国・オランダから仕掛けられて、自存自衛のためにやむなく立ち上がったのであることを。

  日本が犠牲になって、白色人種から有色人種を解放した聖戦であったことを … 。

  「日本が侵略国であるかどうかの、歴史を研究する必要はない。地図を一見すれば、オランダ ・ イギリス ・ フランス ・ アメリカが平和愛好国かどうか、すぐ判る。アジアの安定に責任を持った日本は、欧米のたび重なる圧迫を断ち切るために、立ちあがらざるを得なかったのである」
 このウェデマイヤーの回想録は 「アメリカ国民の反省の書」 として、二年間もベストセラーを続けたという。

  今こそ私たちは、呪誼 ・ 呪縛をはねのけて、美しい日本の真姿顕現のために 「現憲法を廃棄」 し、 「明治憲法に復元改正」 し、私たち日本人自身の自主憲法制定に生命をかけましょう!
  現母体保護法は、殺人奨励法です。私たちが望む真の胎児保護法を実現するために生命をかけましょう!

  私は、菅家利和さんの釈放報道に接して、私自身が神の子としての無限の能力を与えられていたにもかかわらず、自己の神性を隠蔽するという冤罪を自らに課していたことに気がついた。





鎌田久子氏
どんな教えか
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