平成16年 3月号
み教えを生きる悦び (2)
愛国心と徳の養成″は食育″から (一)
鎌 田 久 子
以前、谷口恵美子先生のご講話(白鳩会全国大会)を拝聴し、非常に深く感銘を受けた。 それは ─ 海外赴任中の宮澤潔 ・ 寿美ご夫妻に五人目のお子様が生まれるため、お世話にいらしたときのこと。 食前に、四人のお孫様が合掌し、 「神様、天皇陛下 ・ 皇后陛下ありがとうございます。 谷口雅春先生・輝子先生ありがとうございます。清超先生 ・ 恵美子先生ありがとうございます。お父さま ・ お母さまありがとうございます」 と、神に始まり、目前の食物に至るまで、感謝を捧げてから箸を摂られた ─ というお話でした。 一日三度のお食事を頂く中で、皇室尊崇・尊師ご夫妻崇敬 ・ 祖父母敬愛 ・ 両親敬慕の精神が養われ、食物への感謝と礼儀作法を学び、家族の躾もしっかり養われてゆく宮澤先生ご夫妻の見事な育児に、胸が熱くなったのを覚えている。 戦後、「知育」 「徳育」 「体育」 の三本柱に加えて、「食育」 の柱が必要と、服部幸應氏が提唱されて久しい。私も、この ”食育” は日本の食文化の継承を含め、日本の国民を育てるためにも非常に大切な柱だと思っている。 戦後、五十八年を経た最近の日本人は、愛国心に欠け、道徳は地に堕ちつづけている。その一つの要因が、 ”食” 生活にあると思うからだ。 (一)愛国心の養成 かつて故桜沢如一氏は、「身土不二」 説を唱えられた。 心と身体と土とは、不二。切り離せない一つのものであるという。 氏は、自分の生まれた土地周辺の植物を食することによって心身の健康が維持され郷土愛が育つことを強調。 しかし日本の食糧自給率は四〇%。 憲法・教育法の改悪とともに、食生活まで 「欧米並み」 を目指して改悪してしまった。せめて食材は、排気ガスや農薬汚染の少ない土地の、国産のものを食するように心掛けたいもの。 家庭科理に携わる女性は、家族の心 ・ 身の健康を司る偉大な食医である。 私の理想は、可能な限り先祖が食した古代食をたべ、 旬の野菜や果物や、住居の周辺に生える野草を食することにある。 日本中の家庭が、米を主体にした和食を召し上がるようになれば、現代もっとも嘱望される楠木正成や吉田松陰のような忠君愛国の士を輩出することもできるのではないか、と夢みている。 (二) 徳育の養成 (その一) 私は、二十一世紀を境に、人類は戦争を徐々に終焉させ、生かし合いの世界現成に向うであろうなどと思っていたが、甘かった。二〇〇四年の現在、テロとの戦いはますますエスカレートし、同じ民族同士の殺し合いもつづいている。国内では肉親同士の殺し合い、理由もなく他人を殺す事件も多発している。一体、どうしたらよいのか。 こうした疑問に対して、谷口雅春先生は、次のように御教示くださっている。 @ 「平和、平和」 と叫びながら何故人類は、大量殺戮兵器を、競争して製造しっつあるのだろうか。 … この現象を、精神分析の大家、カール ・ A ・ メニンジャー博士は、「人類は自己処罰しつつあるのだ」 と説明している。 何のための自己処罰であるか。それは食用のために、人類は多くの獣類を殺しているからだ。 殺した者は ”殺し” によって報いられなければならない。 現在意識は肉食をとることが習慣性になっているので、それを罪悪だとは思わないけれども、潜在意識の奥の奥には、”良心” という仏性があり、神性があり、審判官がある。その ”良心” が立ち上がって、人類を審判し、人類みずからを自己処罰するために、いろいろの病気をつくったり、大量の自己処罰のためには、戦争という一掃的な死刑執行場をくり広げるのである。 (『心と食物と人相と』”はしがき″三頁〜四頁) 徳育も知育も戦後侵されて愛育食育なほざりのまま |