平成17年 6号

み教えを生きる悦び (17)

谷口雅春先生の「もったいない」とは?

鎌 田 久 子


 「もったいない」 と、抑揚の効いた言霊を、テレビ画面から発信したのは、ノーベル平和賞受賞者・ケニア環境副人臣ワンガリ・マータイさん。
 この 「もったいない」 には、四つのR=消費削減(Reduce)、再使用(Reuse)、資源再利用(Recycle)、修理(Repair) が含まれている。それをわずか六文字で衣現できる 「もったいない」 運動を、ケニアから世界に広げていきたいと、熱っぽく語っておられた。

 尊師は ”勿体ない” とは、 ”物体無い” の意味で、それぞれの物の奥には、目にみえない神の生命・愛・恵みが息づいている。「物・物にあらず、物体ではない」 が縮まって ”勿体無い” になった、とお教えくださっている。
 またすべての人・事・物・処、森羅万象ことごとく神の生命のあらわれと観じて、畏れと感謝を捧げ、日常生活に生かしていくことをお諭しいただいた。それは、かつて生長の家本部の白鳩例会 (毎月第ニ・第四金曜日) のときだった。

 「みなさん、お掃除に使う雑巾は、使い古しの茶色くなったタオルが、一番やわらかで、水分を吸うのでよろしいですよ。その際、雑巾に縫ってしまうと二面しか使えませんが、三つ折にすると八面使えて便利ですね。」 と、雑巾がけのコツまでお説きになられた。

 そのころ毎月一回、白鳩会中央部の四名 (古川・田中・藤原・鎌田) は、お山に伺い、輝子先生をお囲みして、お話しをさせていただく至福の時間を与えられていた。雅春先生から雑巾の使い方までお教えいただき本当に嬉しゅうございました、と申し上げると、輝子先生はにこやかに少しお茶目な表情をなさりながら、
 「みなさんは、雑巾を使いきってボロボロになったら、どうされますか?」 とおっしやる。
 「それはもう感謝して捨てます」とお答えすると、
 「先生はねえ。穴のあいた雑巾をきれいに洗って乾かしてから、布の繊維をむしって糊で固めて、湯船の虫食い穴や、すき間に楊枝できつく詰めて修繕なさいます。そうすると布がお湯を吸ってふくらむので、お湯が漏らなくなるんですよ … 」

 そこまで生かされたらタオルも大満足ですね、と私どもは、ただただ合掌礼拝して感じ入った。

 雅春先生ほど 「もったいない」 精神をつらぬかれた方はいらっしやらない。一本のタオルにすらこまやかな愛を注がれ、大切に生かされた尊師。ましてや、天皇国日本の生命を蝕む現憲法と、安易に人工中絶を可能にしてしまった優生保護法 (現・母体保護法) を、廃棄改正できないことに、日夜どれほどお心を痛めておられたことか … 。 十代の少女の中絶数と性感染症が世界一多い日本の現状を思うと、末弟子の一人として申し訳なくて胸が張り裂けそうになる。

 昨年四月十五日の衆院憲法調査会は、憲法に 「生命尊重」 を明記すべきかを考えるために、元早稲田大学国際バイオシックス・バイオ法研究所長木村利人氏を招聘した。その折、木村氏は 「米シンクタンクの調査文書に日独の非武装化と、人口抑制策が記されていた」 と証言。なるほど、現在の日本のありさまは、六年八ヵ月に及ぶ日本弱体化占領諸政策の実験結果なのか、と残念ながら納得せざるを得ない。

 節目の今年は、やるべきことが山積している。が、いまも小・中学生の少女たちが、少しの痛痒も感じることなく、人工中絶という殺人を犯しているかと思うと気が気ではない。 一日も早く、母体保護法改正を国政に働きかけてゆかねばと、切に思う。
 法改正が為されれば、良心の呵責もなくバキューム式殺人をしている医師に対しても、重い刑罰を科すことによって、中絶は激減できる。 中絶費用は友人たちのカンパではとうてい払えない、五十万円以上とする。私は以前から何か自分なりにできることはないかと模索していたが、いま三つ実践していることがある。それは、

(一)、いつでも、どこでもお声がけ。

  妊娠している人に出会ったら、真心こめて讃嘆し、祝福の言葉をおかけする。心をひらかれ、悩みや不安を打ち明けられたら、親身になって相談に乗って差し上げる。別れ際には名刺をお渡しし、二十四時間、よろず無料相談受付をアピールする。

(二)、機会を捉えて、神聖なる生命の神秘を語る。

 (村上和雄教授のサムシング・グレートなどを例に) 子どもの生命 ─ 心・脳・身体に対して、胎教・自然分娩・母乳の偉大な影響力を具体的に強調する。

(三)、”女性よあなたは女神” のお呼びかけ。

  子育てほど、偉大な聖業は他にないことを呼びかける。十月十日の胎内生活中、三十八億年の生命進化を遂げて生まれてくる赤ちゃん。その後も三歳までに非常な早さで脳細胞を発達させ、人格形成の基礎をほぼ完了する (三つ子の魂、百まで) 。 この大切な時期を、女神のあなたが霊育をなさらないとしたら、本当に 「もったいない」 … 。

 もし、少女たちの心の動きを透視できたら妊娠と堕胎を防止できるのに、と思う昨今である。





鎌田久子氏
どんな教えか
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