平成17年 7月号

み教えを生きる悦び (18)

システィナ礼拝堂の ”まどろみ”

鎌 田 久 子


 近ごろ、愛する祖国は、天災 (噴火・地震?台風・水害) や、国災 (北鮮・中共・韓国・ロシアなどの拉致、侮蔑、脅し、領土の占領・占拠、不法な油田探索、歴史教科書記述への介入、靖国参拝阻止) の波に翻弄され続けている。 この波をかいくぐり、はね返し、美しい日本の真姿を蘇らせたい。

 神授の国・真理の国・日本の中心におわします天皇陛下の御稜威が、世界に輝きわたる理想世界を現成したい。ああ、それなのに、それなのに…。
 日本は三兆円のODAを拠出し、中共の近代化に貢献しているのに。反日教育に培養された若者たちの悔日デモを容認した中共。町村外相は国際法に基づき、堂々と賠償を迫った。しかし、中共は、日本悪玉の捏造史観を振りかざし、日本のせいで人民が怒って行動に訴えたデモだとして、賠償も謝罪もする気はないと居直った。この態度はロシア、北朝鮮、朝日新聞などが共有する常套手段である。

 小泉首相は、日の丸が足蹴にされ焼かれようが、自分の顔写真に×点されて市内をデモられようが平常心を失わない方である。「まあ、熱くならないように冷静に。今後も友好を保っていく大切な隣りの国…」とコメントされていた。
 共産圏の屈辱的な闇をはね返すいとまもなく、四月二十二目、インドネシアで開催される五十年記念 「バンドン会議」 (アジアーアフリカ首脳会議) に出席した総理。かつてアジアの解放に貢献した君主国の総理として、好意を持って迎えられるこの会議で、「総理、のびのび正論を吐露して下さい」 と祈りつつ期待に弾んで、その夜のニュース画面を見たのだったが、茫然自失した。まさか、あの最も忌まわしい 「村山談話」 を冒頭から引用するとは ─。 しかもこの地で実現した中共の胡錦涛上席との会見で、小泉首相は暴カデモによる日本大使館への損害賠償や謝罪には一切触れなかった。
 さすがに胡主席も”靖国”は口にしなかったが、 「謝罪や反省は言葉だけでなく、行動で示すように」 と尊大な態度でのたもうた。小泉首相は啓示を受けた高僧の心境なのだろうか。私は”乱にいて治を忘れず”の神示はどこへやら、その夜はなかなかまどろめなかった。

 いま私は、生涯に一度だけ訪れたいと願っていたシスティナ礼拝堂の前に立っている。扉に手をかざすと、ただちに電子が日本人であることを読み取り、墨痕あざやかな 「世界平和実現大会聖堂」 の文字が三秒浮かび、扉が自動的にひらいた。
 中に入ると、パイプオルガンから、聞き覚えのあるバッハ作曲の讃美歌が演奏され、中央通路の左右には、世界百九十一ヵ国の首脳者と要人達が静かに着席。聖霊堂に満ち、しわぶき一つない。
 美しく澄んだチャペルの鐘が鳴り響き、午前十時を告げた。パール博士の風貌に似た司会者が厳かに開会を宣言し、法王に開会の祈りを乞うた。
 白衣の法王は、世界平和実現の礎となることを天の神々に誓う敬虔な祈りを捧げられた。
天才彫刻家ミケランジェロが法王の命をうけ、初めてフレスコ画法(二千年年経ても鮮明な色彩を保つ)にとり組み、六階建てのビルがすっぽり入る高さの天井に、十二人の使徒を配した三四三点の「天地創造」の壁画は、等身大であるだけに、人智・人力を超えて魂に追ってくるものがある。

 「みなさん、この地球で一番最初に太陽の光を浴び、夜明けを迎える国は日本です。この日本から平和実現のご提案をお願いします」 小泉首相を暖かく紹介された司会者は、パール博士のお孫さんだという。やや紅潮した面持ちの小泉首相が登壇。

 「我が国は、ご紹介の如く、万物を生かす太陽神をご先祖に仰ぎ、その御子孫の天皇陛下を中心に戴き、。百二十五代 (二千六百六十五年) 栄えてきた国柄です。日本は、第二次世界大戦を無血終戦で迎え、自国を守る軍隊も核兵器も保有せず、この六十年間内戦も外戦もなくまいりました。この奇蹟は、初代神武天皇の ”世界人類は一つの家族” の詔のもと、歴代陛下が日々国家国民の幸せと、世界各国の繁栄と民族の幸せを祈り給える賜物であります。歴代陛下はまったく私利私欲なく、万人万物に慈悲を注いで下さいます。

─ 大正十三年来日されたアインシュタイン博士の言葉朗読 ─

 私は世界平和実現の使命を授かった貴い国柄の首相でありながら (領土は返還されず、拉致者は奪還できず、靖国参拝は阻まれ、歴史教科書は改竄を迫られ … )」 突然総理は、肩を震わせ絶句した。
 すると、ブッシュ大統領が壇上に駆け上がり、首相の肩を擁し、「友好国をこんなに苦しめたのは米国です」 とマイクの前で話し出した。
  「先の大戦は (一) 開戦十年前から米国で仕組んだ日本侵略のシナリオ通りに進行した。 (二) 敗戦間近かの日本本土を、二種類の原爆実験対象に選んだ。 (三) 東京鉄判は、戦勝国=天使、敗戦国=悪魔の法則で截いた。 (四) 憲法及び日本弱体化の諸政策の徹底を図った。 米国は過去を懺悔し、私は神に誓う。この地球の破壊を避けるために、米国は核廃絶を率先実行する。 」
 胡錦涛が、プーチンが、盧武鉉が、金正日が、壇上に駆けにがり、互に抱き合い握手している。天界の神々が祝福の光をふりそそぎ給う。

 「ああ」 私は自分の発した声に目を醒ました。






鎌田久子氏
どんな教えか
総合目次