耿 耿 の 言
「教科書に日本の誇りを」

仙 頭   泰

 谷口雅春先生が昭和五十七年の「動向」誌・十二月号に「教科書に日本の誇りを」と題して寄稿されています。この御文章を世に出されたのは、今から二十一年前のことです。谷口雅春先生のご指摘に関わらず、現象界の動きは混乱を極め、日本の歴史教科書など、所謂、教科書問題がいまだにきちんと整理できずにいます。日本の若者は自虐史観に蝕まれ、祖国を愛することの大切なことも学校で教えられていません。その逆に、国旗・国歌を侮辱することを教える学校も未だにあります。

 本来、愛したい父母、兄弟姉妹、祖国、故郷などを、愛してはならないと、幼いときから教え込まれるならば、その結果として、その人は精神的圧迫の力で自己破壊、外への暴力的行為をするようになり、家庭・学校・社会への反抗・破壊活動と展開してゆくのであります。戦争の原因は、宗教が集会のたびごとに「汝ら罪人よ」と説教するにあることを警告する心理学者もいるくらいです。

 国ために亡くなられた御霊を靖国神社に祀ることは、日本人の素直な自然気持ちの現れです。人の家のご先祖の祀り方にいちいち文句をつけるお節介な他人が隣にいるのはわずらわしいことです。それだけでなく、人を「東京裁判」という茶番劇の裁判にかけて、不当に殺しておきながら、その死後の供養の仕方までがたがたケチをつける、その神経の図太さ、品性の下劣さにはあきれます。

 われわれ日本国民は、「闇に対しては、光をもって相対せよ」です。眩いばかりの強力な真理の光をはなち、迷妄を照射し雲散霧消して光明世界を実現しましょう。「教科書に日本の誇りを」と題するものは、谷口雅春先生が現在の混濁の世を見据えてお書きくださったとしか思えないご文章です。是非、一読ください。




                 教科書に日本の誇りを」

                        谷口雅春先生


 中国や韓国が、日本の過去の行動を侵略ときめつけ、東南アジア諸国までも、反日風潮にまき込もうとしている。これに対し、わが政府当局はひたすら反省と陳謝をもって答え、文部省では、早くも教科書の再改訂作業をはじめているやに聞く。これは実に由々しき大事であって、歴史の真の公正を期する上においても、また民族将来の栄辱を考える上においても、到底黙止すべき事柄ではないと思う。

 大東亜戦で、たしかに日本軍は、東南アジアに進撃した。しかし進撃した地域は、英領、米領、蘭領、仏領等であり、いずれも既に白人諸国によって侵略され尽くした植民地ばかりである。フィリピンとか、マレーとか、インドシナとか、ビルマとかいっても、それは単なる植民地の地域名に過ぎず、日本軍が一時占領したのは、白人の侵略領土そのものであった。侵略地を解放のため、「進撃」した。これがどうして「日本の侵略」といえるだろうか。

 白人諸国は、日本を撃滅後、直ちにこれらの領土を元の姿に取り戻そうとしたが、そうは行かなかった。一たび日本軍の進出によって白人支配から擺脱、すなわち独立の味を知ったかれらは、二度と植民地住民たることを肯んぜず、一斉に民族独立の旗を挙げはじめた。

 東南アジアは全域にわたり、果敢な独立戦争のるつぼと化した。この独立戦争には日本の残留兵士も多く参画している。東南アジア住民が独立国としての国名を持つに至ったのは、この時以後である。もちろんインドも独立した。白人侵略国はその殆どすべてを失った。十六世紀以来の世界侵略史に終焉の日がやって来たのである。

 もしも日本の進撃がなかったならば、どうしてこのような世界地図の塗りかえができたであろうか。日本軍、それは「天兵到る」といっても過言ではあるまい。

 日本は、英、米、蘭、仏と戦ったのだ。ただ、その戦場が東南アジア地域であり、住民中、侵略国側に駆り立てられたものが、戦火の犠牲となったことはやむを得ない。しかしこれをもって全般的に日本軍から受けた損傷というのは真実を歪曲するもので、現にインドシナ、マレー、ビルマその他には、今でも日本軍に親愛と信頼感を持っているものが多数存在する。「日本軍の残虐」を殊更に言い立てるものは、華僑の多いシンガポールなどに限られており、日本によって独立をかち取ったとする正当な認識は、冥々裡に東南アジア大多数の人々の胸奥にひそんでいるに相違ない。

 これを思えば、日本人は自虐どころか、大いなる誇りをもって事実の検証に当たるべきである。

 そもそも二十世紀前半までは、白人の有色人種支配の世界であって、この世界秩序が容易に覆るものでないことは、何人も思念するところであった。が、案外に脆く崩壊した。天地がひっくり返るほどのこの大動力はどこから起こったのか。一言にして尽くせば、それは日本である。

 日本という國がゆくりなくも極東に勃興した。そして日露戦争でロシア帝国と一戦を交えて勝った。このことは単に日本、朝鮮、中国を侵略の危機から救ったばかりではない。欧州最大最強ロシア帝国自体が、このために崩壊の端緒を開いた。延いては白人支配の威信は失墜し、まずインドが目醒めはじめた。爾後、ヨーロッパの沈衰が目に見えて来た。第二大戦を経て、ついにピリオドを打つことになったのである。

 世界歴史は日本が変えた。日本なしに世界の全有色人種の独立と自由はあり得なかったのだ。

 だれが何といおうとも、わが日本および日本人が、世界史に銘刻した偉蹟は永遠に払拭されないものであり、われわれ自身、これを子々孫々にまで伝え残さねばならぬ義務がある。

 すなわち、日本教科書には、何を措いても、誇りあるこの事実をこそ特筆大書すべきだが、わが文部省は一体何を考えているか。

     『動向』 昭和五十七年十二月号 掲載

 

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